唐紙師トトアキヒコ
唐長の文化を継承する唐紙師。従来の唐長の唐紙を継承した襖や建具、壁紙、唐紙を用いたパネルやランプなど、現代の暮らしに合うさまざまな唐紙を制作している。唐紙をアートにした第一人者であり、唐紙の芸術性を追求し、点描とたらし込みを融合させ自らの指で染めていくトトアキヒコ独自の技法「しふく(Shifuku)刷り」や「風祈」から生まれる深淵な青い唐紙作品は、八百万の神様や精霊とともに手がけた詩情が宿るスピリチュアルな<トトブルー>と愛され、公共、商業施設、個人邸に納め続けている。2010年、MIHO MUSEUMに作品「inochi」が収蔵・展示されると、史上初のミュージアム・ピースとなった唐紙として話題を集め、2014年には、東京国際フォーラム・相田みつを美術館で唐紙の歴史上初めてとなる唐紙アートの美術展を開催。名刹養源院に奉納されたアート作品「星に願いを」は、俵屋宗達の重要文化財「唐獅子図」と並んでいる。同寺にある俵屋宗達の重要文化財「松図」の唐紙修復も手がけ、三十三間堂本坊 妙法院門跡、名勝・無鄰菴、護王神社などにも唐紙を納めており、京都だけにとどまらず全国の寺社仏閣から唐紙を依頼され、唐長として伝統の継承を行いつつ、現代アートなる唐紙の世界を築き、前人未到の道を切り拓いている。
2015年9月、言霊と撮りおろした写真をまとめ、初エッセイ「日本の文様ものがたり」(講談社)を刊行。
2018年7月、百年後の京都に宝(心)を遺す文化プロジェクトを提唱し、「平成の百文様プロジェクト」主宰。江戸時代より 先祖代々受け継いできた600枚を超える板木に加える新たな100枚として、唐長の新しい歴史を担う。

TOTO has been working as a craftsman in KARACHO, that is a famous studio of KARAKAMI woodblock-printed paper in Kyoto established in 1624, and making traditional ‘fusuma‘ sliding doors and wall papers, and he is also passionate about an artistic expression with KARAKAMI. His original method called ‘SHIFUKU’ painting with his fingers can create unique works of art.
He provides his KARAKAMI works for various temples, shrines, museum,public facilities, and private houses, and people feel drawn to his works which the spiritual power of language brings some scenes and stories, that is a reason why he is called KOTONOHA KARAKAMI-SHI.
His artwork called ‘Wish on a star’ is displayed next to the important cultural property by TAWARAYA SOTATSU in YOHGENIN temple in Kyoto, and he had also restored another SOTATSU’s work there.
As mentioned above, he is devoting himself to maintain the traditional works, and trying to establish the contemporary arts with KARAKAMI at the same time.

KARAKAMI artisan
TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
雲母唐長

[雲母唐長]KIRA KARACHO online shop



唐紙師トトアキヒコのブログ(2008年5月〜2013年6月)

http://blog.goo.ne.jp/kiratoto
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雲母唐長/ことのは唐紙師トトアキヒコが奏でる光と音…「唐長美術館」への軌跡
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2015.10.07 Wednesday
「京都の時間」千田愛子
京都の時間.JPG

夫婦同時発売というのは希有なことだと思う。
おかげさまで、ぼくたちの初エッセイはそれぞれ無事船出を遂げ、いろいろな反響を頂いている。ぼくの本がこの世に誕生したのは、読者の方は、既におわかりいただいたかと思うのだが、天命があるからです。その天命を遂げる為、唐紙師へと命を注ぐ原動力となり、これまでの苦難の日々を支えてくれたのは妻である千田愛子である。

そんな彼女の本「京都の時間」は、千田愛子が見た京都のおすすめのコトやモノということを案内する本の体裁をとっているのだが、実は大切なことは何かということを問う1冊なんだと思う。

字数の制限や京都という枠組みにおさめているので、ぼくからすれば、彼女が大切にしていることのまだまだ一部だと感じるのだが、何が自分にとって大切かということを知ることが暮らしを豊かにする鍵だということが随所に感じられ肩の力がぬけた一冊になっている。ぼくにとっては、一冊を通して一番目につくのが「主人」という言葉でした。手前味噌になりますが、彼女が一番大切にしているのは、ぼくとの時間ということになるのでしょう。すなわち、読者の方へのメッセージは、友人であれ家族であれ、大切な人とすごす時間の大切さ。
その人と何を食べるか、どこへ行くのか、どんな格好で会おうか、何について語ろうか、お土産何を選ぼうか、招く料理は何にしようか、どういうしつらいにするのか、どうおもてなしするのか、その時、何を着るのか、どんなファッションにしようか、どんな家に暮らそうか、どんな部屋にしようか…さまざまなことに、あらゆることにつながってゆく、根本的なことは、誰とどう関わって生きてゆくのか、です。
そこに介在するのがモノ。

物事やモノ自体の善し悪しの判断を自分の価値観ですることはとても大事なことです。ブランドやラベルに左右されて、人が良いというから良いのではなく、高価だから良いものとか、毛並みどうこうとか、そういう価値観ではないのです。ほんまもんは、そういう価値観ではありません。
彼女の本から、そのことが伝わればぼくは嬉しく思うのです。

身につけるものや身の回りのものでも、自分の好きなものを選び取る力が大事だと思うのです。モノを見る眼、しかも、本質を見る眼が大事で、それは、好きが一番だと思います。

好きゆえに物語が生まれ、人がそれを語り継ぐようになり、伝播する。

千田愛子の好きは、きっと、続編が生まれ、インテリアやファッション、暮らしかたなどを彩る世界をこれからも発信してゆくことになるでしょう。



千田愛子の初エッセイ「京都の時間」
唐紙師トトアキヒコの初エッセイ「日本の文様ものがたり」
は、全国の書店で発売中です!

唐紙師トトアキヒコのトーク&サイン会も下記日程で行います。
ご都合あえばお越しください。

10月10日には、京都四条烏丸「大垣書店四条店」
10月12日には、兵庫県西宮の100種類以上のハーブに囲まれた自然の中にある体感型施設「むすびのガーデン」
10月24日、25日には、東京「伊勢丹新宿店」











2015.10.7
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)

| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 06:02 | - | - |
2015.09.25 Friday
風に煌めく葉
煌めく葉を見た.JPG
赤山禅院にて
風に煌めく葉がひとつ
くるくるクルクル回りゆく

まばゆき光 不思議な葉
思わずぼくは駆け寄り見た

陽光のなか
くるくると
キラキラと
輝くただ1枚


その前兆は
ぼくの胸をこんなにも高めた

来るべきその花を
風がぼくに知らせを届けた











2015.9.24
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 01:57 | - | - |
2015.09.18 Friday
唐紙師の生きた証
日本の文様ものがたり.jpg

今日、大切なモノが届いた。
これは、ぼくが唐紙師として生きた証となる宝だ。



ぼくの頭の中が1冊の本になっている。

何を思い、どう行動してきたのか、そして、その先に何を得たのかがこの本を通じてこれからの世界に、今と未来の歴史に刻まれると言える。
トトアキヒコがトトアキヒコになるために、これまでどれほどまでの覚悟と努力を持ってこの世界で戦ってきたのかは、筆舌しがたい物語がたくさんあるのだが、それもまた、後から道を歩む後進のために、小説としてまとめる日が来るだろう、と今回の本を書き終えた時に確信した。
そして、その本は脚本となり映画化されるのだ…

今宵のアトリエでの制作を終え、さきほど帰宅。
ようやく静かに自書と向き合えた。
自らページを開くその音に感触に、匂いに、風に…
ぼくは、壮大な未来の扉を感じた。

命と命をつないできた美しい唐紙文化

未来へとつなぐ今の命を授かる者として
ぼくは、次世代に伝える思いをこの本に記したとも言える。





この本に関わって下さったさまざまな方々には本当に感謝です。
どこにもない美しい本をつくろう、と、講談社のO編集者には、たくさんの無理を言ったように思う。たいそう世話になったとともに、ぼくの頭の中を表すために、美術や寺社のさまざまな資料を共に構築する時間はとても楽しく、時に難題をいくつもクリアーしてゆく中で良い関係性が築けたように思うし、お寺の非公開の仏像と縁を結ぶことができたことや、その仏像撮影もぼくがしたことも忘れ得ぬ記憶になった。

そして、切実な願いとして英訳を頼んだ。唐紙文化を世界に伝えるため、ぼくが唐紙師としてこれから世界の舞台へ出るであろうということをO編集者は、ちゃんと信じてくれて、たぶん各方面たいへんだったろうに調整し、結局、バイリンガル表記してくれたことに心から感謝を述べたい。

人が人を信じる種は、やがて人生において大きな意味を持つ

この世界に自分の可能性を信じてくれる人が自分以外にもいるということは、それはとてもとても大きなチカラと支えになる。

そもそも、愛子の本のK編集者が、昨年、相田みつを美術館でぼくの美術展を見てくれたことからO編集者に紹介し、この本の企画は生まれた。K編集者が可能性を見いだし、信頼してくれたこそである。
二人の編集者の共感力のおかげで、ぼくは思想をカタチに表すことができ、おかげさまで、世界のどこにもない本が生まれたのだ。



宗達や光悦、光琳、等伯、探幽に北斎…が唐紙とともに楽しめ
しかも、
ピカソにシャガールやクリムトからケルトに土偶まで!?
なぜか
唐紙と共に描かれている
こんな本は、見たこともなく前人未到の試みといえるでしょう!

世界に投じるこの1冊が、唐紙文化の進化と世界の人々のしあわせに繋がることを
心から
ほんとうに願っています。

2015年9月25日発売予定
日本の文様ものがたり(講談社)
唐紙師トトアキヒコ著




夫婦同時発売です
京都の時間(講談社)
著:千田愛子











2015.9.17
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 03:43 | - | - |
2015.09.14 Monday
秋の審判
実りの秋.JPG


秋の審判です。
この1年、自分が蒔いた種、育ててきたことから
いかなる実りの恩恵を授かるのか

そこには自分が行動してきたことの全てが現れます



昨年の今頃は、東京国際フォーラム相田みつを美術館にいた。
歴史上はじめてとなった唐紙によるアート作品1428点にうめつくされた会場による展覧会は、前人未到の唐紙師として世界に声を発した。

あれから1年。

ぼくは、新しい舞台へ上がる準備をしてきた。
間もなくステージが変わり
違う景色がやってくる。











2015.9.13
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 00:17 | - | - |
2015.08.31 Monday
唐紙師トトアキヒコ初エッセイ刊行 日本の文様ものがたり
トトアキヒコ初エッセイ.JPG

進化とは、異なる環境に適したさまざまな生きものを生み出す枝分かれの歴史である、というのはダーウィンの考えだ。
変異と多様性ということを携えた種こそが、生きながらえる種として保存し続け、そうでないものたちは淘汰されてきた。





何かを発信するには、発信するだけの力を得なければならない。
数年前からずっとずっと願い、行動し続けてきたことがようやく今回カタチになる…


ぼくは、これまで唐紙師として、さまざまなことに挑戦し、創造してきた。
例えば、この唐紙師ということば一つにしても、数年前に意図して復興した言葉。
名称は存在していたが、近年は、呼ばれることも知られることもほんどない言葉でしたが、ぼくは唐紙普及のために復興しました、そしてそれは今のぼくのポジションを当時から見据えて始めたことでもあります。
おかげさまで、今や「唐紙師」と検索すれば、1番にトトアキヒコとでてきます。
これは数年前から誰よりも努力し続けてきたからこそ、今のポジションがあると思っています。

唐紙の歴史にアートの分野に道をつくると決めた時もそうでした。
何度かブログにも書いてきたが、数年間もの間、さまざまなことを戦いぬき、昨年2014年に前人未到の唐紙師として開催することができた展覧会

唐紙の美 トトアキヒコの世界
雲母の旋律 - 400年のひととき -
(相田みつを美術館)


おかげさまで1万人ほど訪れたこの展覧会は、唐紙師としての立場を確固たるものにすると同時に、ぼく自身の発信力を大いに高めた。発信力が高まると、それに比例して共感者、賛同者が増えるということにつながる。

数年前…
ぼくは、ぼくに見えた風景を、世界と共有するためには、その考えと風景を世界に見せる必要があると思った。

共感を得るには共感が得られるように努力し続けなければいけない。
失われてゆく日本文化、唐紙文化の中で、わかってもらえないのは、わかってくれない他者や社会が悪いのではなく、わかってもらえない自分が何より悪いのだという考えから全ての行動は発している。
おかげさまで、今や、アートとして唐紙のオーダーが途切れることなく続いている。



唐紙を伝え、つくり続けるなかで、ぼくがとても大切にしてきたことがある。
それは、「呪能」

アトリエでみなさんからオーダーを受ける際には必ず毎回毎回、真剣に語り続けてきたことであり、講演会でも必ず自分自身のことばで語り続け構築しつづけてきた世界観であり、この話に及ぶと聞き手の方々は眼を輝かせていた。

数年前から千田愛子の本を企画していた編集の方が、ぼくの美術展を見てくれた上でこの考えを知り、別の部署の編集者にその存在と考えを紹介してくれたことで、それらの思想をまとめたトトアキヒコ初エッセイがアート本として講談社より刊行されることになりました。
これが7月17日のぼくのブログに記したことであり、ここ数ヶ月ほとんどブログの更新をしなかった理由でもあります。
ことばに全霊を込めて、エッセイの執筆につぎ込んでいたからです。


気配のある美をテーマに写真もぼくが撮りおろし、板木や唐紙の陰影美、風景写真、エッセイにまつわるさまざまな美術資料などを絡めて200ページほどにとりまとめました。



最後には、相田みつを美術館で来場者の方、数千人の人々が祈りや願いをこめて染めてくれた作品「shi-fuku」を完成させたものを掲載させていただきました。
どういう形で携わっていただいた方にお披露目するのがよいのか、会期後ずっと考えていましたが、講談社さんが素晴らしい機会を与えてくださったので、ぼくの初エッセイとなるこの本で、その機会を得るのが良いと思い8月に仕上げ最後の最後にページにさしこんでいただきました。
みなさんが祈りをこめてくださったしふく刷りがこのような最高のカタチでお披露目できることを、心より感謝いたします。今日の写真は、その作品の部分。全貌は、ぜひ、本をご覧いただければと思います。


人生には転換点がいくつかあります。
むかし、ぼくの考えが変だとか違和感があるとか、異を唱えられた時代を思い出します…
今回の本でも異端の唐紙師として紹介されていますが、今は、むしろ異端と呼ばれることでさえ「力」であると感じます。

転換点とは生物学的にいうと種が途絶えるか、枝分かれの芽を生じてゆくかの転換点でもあります。
ぼくは、唐紙における「生命の樹」を進化させ続けるためにもこれからも戦い続けるでしょう。

今回のエッセイの出版は、昨年の美術展と共に、まちがいなくぼくの唐紙師人生にとって転換点であり、チャンスです。
巡り合わせやチャンスは勝手にはやってきませんし、ぼーっとしてたら通り過ぎます。
偶然という名のチャンスでさえ意図的にをものにする器がなければ舞い降りてはきませんし、その器は、自助努力なしには決して得られるものではないことを、ぼくは知っています。

世界に投じるこのチャンスの一石が、唐紙文化の進化と世界の人々にしあわせに繋がることを
心から
ほんとうに願っています。






KIRA KARACHO(雲母唐長)の本
2015年9月末頃夫婦同日発売予定
講談社
日本の文様ものがたり
著:トトアキヒコ

講談社
京都の時間
著:千田愛子











2015.8.30
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 02:45 | - | - |
2015.08.05 Wednesday
美瑛の青と美影の青
美瑛の青.jpg

昨年、唐紙の世界では、前人未到となるアート作品による美術展を開催するまで、走り続けてきたけど、実は、展覧会の会期終了日、1427+1枚の作品を撤収し、ひきあげた後の何もない会場にポツンと一人で佇んだ瞬間、とてつもない孤独感に陥ったのです。

長い唐紙の歴史において、アートという見解から作品を制作し、世に問うた人は誰もいなかった訳ですから、ぼくが目指した道は、当然、比べる対象もなく、正否を問う事も無く、ただ一人、そのポジションに立ち向かい、切り拓くしかありません。
そして2014年秋、相田みつを美術館のおかげで、東京のど真ん中で、世間にお披露目する場に立てた訳です。
1万人ほどの方々にその舞台を感じてもらえ、多くの反響をうけるなか、ぼくは成し遂げたことの達成感よりも、これから立ち向かうさらなる世界への広さに愕然としたのでした。
成し得たことよりも、自分が為すべきことへの大きな壁を明確に意識したことの方が、成果だったのかもしれません。
それは、極端な言葉で述べると、こういうことです。

世界は、まだ誰も唐紙を知らない。


前人未到とはこういうことか、と、その風景に佇んだことを昨日のように覚えています。これは文章ではなかなか伝えられないことです。
なぜなら、そこに立った人だけが、見る風景だからです。

それ以降は、8ヶ月もの間、唐紙師人生はじまって以来、一番のスランプともいえる苦しい時期をすごしました。

従来の襖や壁などの唐紙づくりは、自ずと身体が動くので何の苦もなく、日々楽しく向きあえるのだが、自らが切り拓いた唐紙アートの道にのたうち苦しみを味わうこととなる。
自身の最大の武器である「しふく刷り」やそれを駆使したアート作品づくりに関して苦悩を極めた時間の集積が日々積み重なり、これほどに作品と向き合うことが、しんどい時間は、ありませんでした。
次々と生み出し続けてきた自分の作品が自分自身に襲いかかってくる感覚です。

常に、前よりも新しいものを、良いものを、見たことのないものを…
と、思えば思うほどに過去の自分が立ちはだかるのです。



先ほど孤独と記しました。
が、ぼくは大きな過ちをおかしていたのです。

周りを見渡すと、ぼくを信じて待っているお客さんがいました。家族や友人がいました。
周囲に心を開くことが必要なことでした。素直に話をしてゆくうちに、周りの方々の手が差し伸べられました。素直に心を開くということの尊さを知りました。弱さをさらけだすということは、人間というものを知る機会にもなりました。

心の弱さは弱さではなく、絆の強さへと転換してゆきました。

みんな、さまざまな言葉で励まし、力を与えてくれました。どうにかこうにか、立ち向かいつつ、徐々に作品が生まれ始めましたが、なかなか進まない作品がありました。北海道のご夫妻からの依頼で5メートルに及ぶ「しふく刷り」トトブルーをグラデーションで描くという作品です。京都の青ではなく、北海道の青で。
北海道の青を知らないぼくに夫妻は写真をたくさん送ってくださったり、DVDを編集してくださったりと創作のイマジネーションの手助けをして下さいました。
玄関先に5メートルほどの作品。つまり、2年もの間、5メートルの空間が空っぽだった訳です…
夫妻にスランプを記した手紙を書きました。
その後頂いた驚きの言葉は、ぼくの人生の宝ものです。


スランプの中で、ひとつわかったことがあります。
例えば、イチローが打てなくなった時にどうするだろうか、ということです。
打てなくなった場合に、また打てるようになるのは、打席に立つことのみ、野球と向き合う事以外に再び打つことはできない訳です。要するにバッターボックスに立ち続けること以外に越えることはできない何かがあるのであろうと思うのです。

ぼくの場合は、唐紙をつくることです
唐紙によるスランプは唐紙と向き合うこと以外に道などない

と、見据えることでした。

幸いにも、たくさんの方々からいろんなオーダーが毎月ありつづける中で
普段通りの唐紙づくりを黙々と淡々とつくり続けるということが、一種のリハビリのになったともいえます。
淡々とつくり続ける中でぼくは立ち上がってゆきました。

唐紙によるスランプは、唐紙でしか乗り越えられない

これがぼくの出した答えであり、つらかろうが、苦しかろうが、つくり続けるしかないわけで、唐紙によるスランプは、唐紙でしか乗り越えられない

唐紙師のぼくは、唐紙と向き合うことでしか見いだせない何かがある

人は皆、困難や悲しみからの学びから、その次の瞬間の行動が試されている。
選んだその道が正しいか否かで悩んだり迷ったりするのではなく、その道が正しくなるように自分が行動すればよい。



先日、北海道の作品設置が完了し、ご夫妻と設計士夫妻と大いに喜びを分かち合いました。
ぼくにとっては、眼を見て話すこと以上の誠意はありません。

光と影。
人生には浮き沈みがつきものです、良い時も苦しい時期をも乗り越えて陰影を放つ人生の如きトトブルー作品は「美影(びえい)」と名付けました。
夫妻のおかげでこれまでの「しふく刷り」とは違う、新たな表現方法を会得しました。


美影の青を得た今のぼくに、スランプは、微塵もありません。











2015.8.4
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 01:15 | - | - |
2015.07.17 Friday
その向こうへ
その向こうへ.JPG

ぼくには、ぼくを通して見えている世界がある


誰かが気づこうが気づかまいが
想像した以上に
世界は動きはじめている





近々、あることを発表します。
これまで積み重ねてきたことであり、ここ数年ずっとそこを目指してやってきたことが、ようやくカタチになる


目にうつることと、見ることは違う


遠くを見る力が、今為すことにつながる
そして、今、この目の前の1歩だけが
やがて、とてつもない遠くへと辿り着く唯一つの道


美しい花が、そのことを教えてくれた










2015.7.16
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 03:30 | - | - |
2015.05.29 Friday
初まりの唐紙
星に願いを.JPG



一は、初まりにして全てを兆す




ひたむきに色をかさねてゆく。
それはそこはかとなく…

光も闇も消えることなくゆっくりと沈み込んでゆく…

思うに…
色は光だ

ひたすら我が身をつかい色を紡いでゆくこの唐紙は、光りを紡いでいると知る







しふく刷りによるトトブルー作品「星に願いを」

1000年前も、今も、そして1000年後も人が星に願う姿が変わらないだろう
人が誰かのため、何かのために祈りを捧げる行為は
人間として最も尊い姿であり、美しいのではないか…

そのことから名付けた「星に願いを」は、数年前にぼくが初めてアート作品として手がけた唐紙

以来、ずっとその時々の時代の空気を吸いながら生まれてきた
今この時代の、今この瞬間の空気とともに、今を生きるぼくが祈りを捧げた唐紙











2015.5.29
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 23:36 | - | - |
2015.05.04 Monday
美を紡ぐ継ぐ美(tsugumi)
tsugumi 青季道.JPG

作品:tsugumi 青季道(あおきみち)

季節は巡る
山巡る風に春夏秋冬がひそみ
波に飛び交う千鳥は移ろい

明け方の青…朝の青…昼の青…夕方の青…日暮れの青…夜の青…闇夜の青…

いつもそこには、青が在る
月の光がとこしえに導くやすらぎ

(トトアキヒコ)





俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」、重森三玲の「好刻庵」が大好きという美術に造詣の深いクライアントさんから依頼を受けて手がけたトトブルー作品「青季道」

作品を染め分けたり、ツートンにしたりするのはこれまでもやってきましたが、今回はシャープな線をいかに美しく描き画面を切り替えつつ、全体にどう一体感をもたらせられるかという課題に挑む。
しかも、三枚の襖をまたいで一本の線を描くというのは、初めてのことであり、実際問題…とても難易度が高い。
なぜなら、平面上にラインをひくのとは訳が違い、襖は建具の前後やかぶさりがある立体物である。

表具師との綿密な打合せにより、現場施工にも立ち会い、無事、納まった時の喜びは、ひとしお。

この作品は、異なる唐紙を継ぎ合わせた継ぎ紙を用いて制作。
美しい唐紙と唐紙をつなぐ美の世界だから、つぐ美。
実は、このコンセプトも名前も数年前に考えて一度カタチにしたことがあったのだけど、その当時のぼくには、まだ迷いもあり力もなかったので、世にちゃんとだし続けることができずにいた。

今回、数年ぶりに手がけたこの作品を世にだすにあたり、改めてこのシリーズと向き合おうと決めた第一作がこれになる訳で、ぼくがこういう考えに至ったのには、この数年の月日が必要であり、今回のクライアントや設計士との出会いがその機会をつくってくれたからなのであろうと思い、とても感謝している。

前のぼくでは、できなかったことができている。
まさに、時節感当である。










2015.5.3
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 02:03 | - | - |
2015.04.23 Thursday
唐紙にこめた祈り
唐紙にこめた祈り.JPG

青が大好きだけど、これまで一番たくさん手がけてきたのは、圧倒的に白に白の世界の唐紙である。

陰影、気配、ゆらぎ…ぼくが思う美の要が反映されたこの唐紙は、青の世界とともに大好きな、そして大切にしている雲母の美しさがゆらぐ唐紙。


北海道、青森、福島、茨城、神奈川、千葉、埼玉、東京、群馬、栃木、新潟、静岡、愛知、石川、富山、大阪、神戸、広島、姫路、愛媛、福岡、熊本、鹿児島…京都など

日本全国各所に旅立つ白に白の世界の唐紙たち



ぼくの手から生まれる唐紙に祈りのなきものは1枚もない
ささやかなる祈りをこめた雲

この唐紙を見た人々の心おだやかでありますよう
そして、世界が平和でありますように











2015.4.23
唐紙師トトアキヒコ
KARAKAMI artisan TOTO AKIHIKO(KARAKAMI-SHI)
| 唐紙師トトアキヒコ | 思い | 10:12 | - | - |